消しゴムかけ忘れ

ノートの隅の忘れ物

周回遅れ

 

休日の朝に早起きが出来なくなったのはいつからだろう。観たい番組を録画する知恵のない子どもだったわたしは、あんなに早く起きてこっそりゲームをしてテレビを見て誰かが起きてくるのを待っていたのに。6時半に目を覚まし薄闇の中で布団を出ていたわたしも、家族を起こさないように小さな音量でテレビを観ていたわたしも、張り切って家族の朝ごはんをつくったわたしも、もうどこにもいない。

 

休日用の遅めの時間に切り替えることも忘れていたアラームは耳に届かず、11時に目が覚めた。

いつものことながら朝食を食べる気は起きず、適当に混ぜただけのカフェオレを飲む。

いつにもまして何もできない休みだった。やりたいことが分からなくなって、机に向かえなかった。どうにかしてパソコンとノートを広げても2分先でスマートフォンを眺めている。知らぬ誰かの呟く流行を漁っても気は晴れない。今まで何をして休日を過ごしていたのか分からなくなるほどには空虚だった。何もかもすぐに飽きがくるようになってしまった。とにかく全てに集中できない。集中し過ぎて気付けば日が暮れていた日々はどこへ行ったのか。かといって、思いきりぼんやりしていれば何もしていない自分を再確認して焦る。周りの人間たちは今日も何かを成しているのに、わたしはずっとその場を凌ぐので精一杯だ。

いつか追い付けなくなる。できないことを理由に何もしなかったわたしは、もうとっくに二周も三周も遅れている。地球が丸いから勘違いしているだけで、本当はずっとずっと後ろを走っている。

 

こんにちは、なんでもできたあのころのわたし。今のわたしの世界はこんなに小さな液晶の中だよ、と教えたら、どうなってしまうだろうか。

 

 

20200727